映像が飛び飛びになる古いソニー製HDDレコーダーのHDD交換

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ソニー製ハードディスクレコーダーの調子が悪かったので、内蔵HDD(ハードディスクドライブ)を交換してみました。

今回修理したのは、BRX-A320という飛行機みたいな型名のHDDレコーダー。チューナー内蔵。発売は2009年頃なので大分古いモデルです。

ソニー公式サイトより引用

長いこと使っていたのですが2年くらい前に調子が悪くなりました。録画した映像を再生すると飛び飛びになったり、途中で止まってしまったりしてマトモに視聴できません。

レコーダーの機能で録画データを全消去、初期化してもダメ。

しばらく放っておいたのですが、録画できないと不便です。ネットが普及して以来テレビを見る頻度が減ったとは言え、ちょくちょく見たい番組があるので録れないのはちょっと悔しい…。

買い替えも検討したが…

古いHDDレコーダーなので買い換えも考えたのですが、値段の高さに驚いてしまいました。

ソニーの現行レコーダーはブルーレイ録画機能が付いており、安いモデルでも4万円程度はします(2019年1月17日時点)。とても手を出せません。

(参考)Amazonの検索結果: SONY HDDレコーダー

HDDだけ搭載した録画装置は現在ほとんど売られていないようです。ブルーレイディスクレコーダーと一体化しているものがメイン。

個人的にはブルーレイに録画なんて不要。HDDのみの製品を安く出してほしいのです。ただ最近は、テレビにレコーダー機能が組み込まれていたり、外付けHDDとつなぐだけで録画できるようになっていたりするので、単体HDDレコーダーの需要が無いのでしょう。

売れないものは作らないのがメーカー。時代の移り変わりは無情。

仕方ないので自分でばらして修理することにしました。うまく行けば一番安上がりです。

注意点

メーカーはユーザーによる分解を認めていません。保証を受けられなくなりますし、万一壊した場合、修理してもらえないかもしれません。

自己責任で、捨てる覚悟でやりました。10年近く前の保証切れモデルなのでバラしましたが、もし比較的新しいレコーダーだったらやっていません。高い金を払ってでも修理依頼するのが無難です。

HDD交換で直りそう

録画した映像が飛び飛びになるのは、おそらくHDDの劣化が原因。何度も録ったり消したりを繰り返したので寿命が近づいているのでしょう。

一瞬ソニータイマーという言葉が脳裏をよぎりましたが、10年近く使っているのでダメになるのは仕方ないですね。HDDは外注でしょうし。

むしろ不調の原因がHDDだったほうがありがたい。HDDなら新品に取り替えるだけで直りますが、チップ類が壊れていたら素人にはとても直せません。

ただしHDD交換にも問題があります。単純に分解して付け替えるだけでは正常に動かないようなのです。ググって知りました。

メーカーにしてみれば素人による分解は非推奨。「プロが修理してやるから高い金払え!」という方針なのかどうかは知りませんが、普通にHDD交換をしても動作しないように作られているようです。

あんまり感じがよくないです。HDDは消耗品なので、簡単に交換できるようにしてくれてもいいように思いますが、色々大人の事情があるのでしょうね。

試しに分解して新しいHDDに付け替えてみましたが、電源を入れても延々と再起動を繰り返すだけで使えませんでした。

HDDクローンで解決

ではどうすればいいのか。解決策は元のHDDのデータを新しいHDDに完全コピーすることです。

購入時に内蔵されているHDDには、システムデータのようなもの(?)が書き込まれており、それがないと再生不能らしいです。何も入っていないHDDを取り付けてもうまくいかないのはそのためです。

すなわちそのシステムデータさえ新HDDにコピーできれば元通り動作します。だだしここにもハードルが。

レコーダーのHDDは特殊な形式でフォーマットされており、パソコンに繋いでも中身が見られません。Windows等の環境では通常、認識さえしないのです。

つまりパソコンにつないでコピーという方法が取れません。

HDDデュプリケーターを使用

そこで登場するのがHDDデュプリケーター。

なんか「デュプリケーター」って聞き慣れない名前ですが、日本語に訳すと複製装置という意味だそうです。HDDコピー装置とか、HDDクローン装置という表現のほうが分かりやすいですね。

これを使えば、複数のHDDやSSDを接続して、データをそっくりそのままコピー(クローン)することができます。

デュプリケーターの凄い所はフォーマット形式云々に関わらず、まるっきりそのままコピー出来るところ。元のHDDとまったく同じように記録された複製品を作れます。

今回はエラースキップ機能が付いてるものから選びました。コピー元が壊れかけHDDなので不良セクタがありそうです。スキップ機能が無い製品だと不良セクタのところでコピーが中止されてしまうようです。

エラースキップ機能なしのほうが安いのですが、今回の目的では多少値が張ってもスキップ出来るやつにしないと使い物になりません。

デュプリケーターのレビュー

使用したデュプリケーターは、ロジテック製「LGB-2BDPU3ES」という製品。2ベイで2.5/3.5インチのSATA HDD/SSD対応。 エラースキップ機能付き。

最大12TBまで対応しているので容量で困ることはまずないでしょう。

筆者が買った時(2019年1月9日)には、Amazonで4231円でした。名の通ったメーカー製かつエラースキップ機能付きの中では一番安かったと思います。

これがあればPC無しでHDDやSSDのクローンが可能。さらにUSBでPCに接続すれば外付けHDDとして使うこともできるようです。

見た目が大事な機械ではないですが質感が良く、意外とかっこいいです。

差込口にフタ(カバー)がついていてホコリが入らないのが長所。

このフタ、差し込むと折れ曲がって収納されるのですが、3.5インチと2.5インチの各サイズ用にそれぞれ折れ曲がるようになってます。

細かい気配りがなかなかいいですね。他の製品には、構造が複雑になるので2.5インチ部分にフタが無かったり、そもそも差込口がむきだしだったりするものが多いです。

背面はこんな感じ。

USB3.0はPCとの接続用。HDDコピー時はDC12Vの所に付属のACアダプターを繋ぐだけでOK。

HDDのクローン

デュプリケーターでHDDをクローンする際の注意点として、クローン元よりクローン先HDDの容量が大きい必要があります。

注:説明書にはそう書かれていますが、厳密には同じ容量以上なら問題ないらしい。ただしパッケージに書かれた見かけ上の容量が同じでも、製品によって利用可能な容量が微妙に違うことがあるので、念の為そのように書いてあるようです。例えば240GBと書かれていても実際の容量が220GBくらいのHDDがあるらしい。)

ソニーのレコーダー(BRX-A320)に搭載されていたのは容量 320GB のWestern Digital製。サイズは3.5インチ。SATA接続。

新しく取り付けるのはHP(ヒューレットパッカード)の安いBTOパソコンから外したもの。購入後すぐにSSD化したのでほぼ使っていない新品同様のHDDです。Seagate製で容量は 500GB

写真の手前が500GB、奥が320GBです。

サイズはどちらも3.5インチですが、新しく取り付けるSeagate製は元から付いていたWD製より薄いです。小さい分には取り付ける上で問題はないでしょう。

むしろ隙間が大きくなるので風通しが良くなり冷却面で有利かも。このレコーダーは背面にある2つのファンで内部を冷やしています。

ソニー公式サイトより引用

作業に入ります。

著作権云々の問題が発生すると嫌なので念の為、元のHDDに録画してあった番組は全て削除しておきました。B-CASやらコピーガード周辺には利権が渦巻いていて怖いです。

Aのスロットに指したHDDのデータをBにクローンできます。

Aがコピー元、Bがコピー先です。

逆にしてしまうと、レコーダーのHDDに入っているシステムデータ(?)が消え、レコーダーが起動不能のゴミと化してしまうのでかなり念入りに確認しました。

クローンするには、まず背面の電源スイッチをON。「POWER」ランプと「HDD A」「HDD B」ランプが光ったら「CLONE」ボタンの長押し。

「100%」ランプが点灯してから、再度「CLONE」を押したらクローン開始。進捗が25%ごとにランプで表示されます。

しばらく放っておいたら無事クローンが完了していました。意外にも不良セクタは無かったみたい。あったら25%のランプが点滅します。

HDD取り付けと組み直し

HDDを取り出すため、すでにバラバラになっているレコーダーがこちら。

これをバラすのは非常に面倒でした。簡単に分解させたくないメーカーがあえて複雑な構造にしたんじゃないかと勘ぐりたくなるほど。

樹脂の外装を外すとその下には金属の枠が入っています。それを外すと、B-CAS読み取りのユニットがあるので外します。

さらに電源部分がPCの拡張カードみたいになっているので、刺さっている部分を抜いて取り外す必要があります。

これが付いていると、HDDの台座を固定しているネジを回せません。まったく、嫌な作りです…。

HDDはレコーダーの一番奥に取り付けられていると言っても過言ではありません。正直ここまで分解が大変だとは思っていませんでした。

組み立てはこれを逆の順番でやることになります。ネジが多くて結構面倒です。

元通り組み立てられるか不安な場合は、分解時ネジを外す度に写真を撮っておくといいと思います。

一応組み上がりました。ネジが数本余ったのですが、どうということはないと思います。組み立てたのが自動車やバイクだったら怖くて仕方ないですが、HDDレコーダーなので重大な事故につながるリスクは少ないですし、個人で使う分には特に問題ないでしょう。

なお、分解する前にはコンセントを抜き、念の為電源コードを本体から外し、しばらく放置しました。感電すると危険です。

起動

テレビに接続して電源を入れてみました。問題なく壊れる以前のように動きます。相変わらず起動は遅いですが仕様なので仕方ないでしょう。新たに録画した映像を再生しても飛び飛びにならないので修理は成功。

ただ、500GBのHDDに変えても320GB分しか使えない模様。そのままクローンしただけなので180GB分は未フォーマットで存在しない扱いなのでしょう。

機種によってはペアリングとかいうややこしい作業が必要みたいですが、この機種には必要なかったです。クローンしたやつと付け替えるだけでOKでした。また使えるようになってよかったです。

※今回のやり方は全ての機種に通用する方法ではありません。また、同じ機種であっても状態によっては直らないこともあります。分解修理は自己責任でお願い致します。
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